有機のこだわり 味わって
オーガニックの食材と酒にこだわった酒宴 「からだに優しい料理と酒を楽しむ会」が、大洗町磯浜町の酒造会社 「月の井酒造店」で開催された。今回は講演会との組み合わせ。有機へのこだわりは、2004年2月にがんで夫を亡くし、跡を継いだ同社社長・坂本敬子さん(44)の思いがあった。

◆ぜいたくな気分を◆
 ひんやりとした酒蔵には、レンコンを皮ごとすり下ろした「蒲焼」、酒に用いる米粉の「団子」など、有機食材を使った個性的な料理が並ぶ。盛り付け用のトレイは、酒こうじを作る 「せいろ」、酒作り用の仕込み水を用いた。
 調理人は、ホテル「コンラッド東京」で和食料理長を務める斉藤章雄さん。
 参加者70人の8割以上が女性。ちょっぴりぜいたく気分な和の空間で、満足気に笑みを浮かべながら会話が弾んだ。斉藤さんは「白砂糖を一切使わないことで『野菜のうまみ』がだしやスープに変わり、砂糖に変わっていく」と感慨深げに話す。
◆TVドラマ化◆
  「月の井」 が知られる契機は、坂本さんの手記『さいごの約束』(文芸春秋)。ドラマ化され、今年4月に放映された。坂本さんを安田成美、和彦さんを館ひろしが好演して評判を呼んだ。
 夫と命を燃やして造った酒を、小粋な料理で味わってもらいたい。そんな思いが、会の趣旨に込められていた。
◆有機の酒◆
 特別純米酒「和の月」は、同書によると、酒造りには素人だった坂本さんが、「うちのお酒も有機だったらいいと思わない?私の大好きな梅酒だったらもっと美味しそうなのに…」と提案。夫は「お前が造れよ」と一言。
 2003年12月、試飲した夫が絶賛した。 坂本さんは、 酒蔵「月の井」と、夫の「和彦」から新商品を「和の月」 と命名。ラベル文字の手書きが、夫にとって最後の仕事になった。
 現在、夫の見立て通り評判となった「和の月」は、少量生産のため入手が困難。今注文しても2008年まで待たなければならず、ネットオークションなど高値で取り引きされているため、心を痛めている。

◆新たな広がり◆
 今回の楽しむ会は、講演会をセットにした。トークは、「オレンジページ」編集長の山本洋子さん。坂本さんの夫、和彦さんが闘病中に同雑誌を見かけ、山本さんに酒造りの助言を求めたのが出会いだった。
 坂本さんは 「身土不二=身(身体) と土(環境)は不二(不可分)」との考えから、「人の生命と健康は土と共にある」を実践したかった。夫の異変に気づかなかったことを悔やみ、 健康や有機食材に関心を持っていたのだ。
 有機の梅酒造りを志したが、梅酒に合った砂糖が見つからず苦労している時、山本さんは、通常の梅酒は焼酎ベースながら、 「月の井」は純米酒を原酒にしている点に着目。坂本さんは、アドバイスから日本酒の甘みだけで梅酒を造り、その後も酒に詳しい山本さんと親交を重ねている。
◆参加者は「次回も」◆
 宴が終わり、坂本さんは、参加者から 「次回もお願いします」と言われ、「料理長、来年もリクエストが来ています」と笑顔で受け答えていた。第1回目は笠間焼と料理、第2回目は常陸秋そばとの組み合わせ、そして今回。
 健康、 地産地消と、 坂本さんが挑戦するテーマに期待が広がる。

月の井酒造店 029 ・266・2168
http://www.tsukinoi.co.jp/